基礎から学ぶ杉並区 税理士について

大企業が規制強化を求める勢力に参加することによって、私たちは、規制強化がいかに愚劣なものかを知るのである。 私は、規制強化によって、今回の経済危機を引き起こした企業の馬鹿げた行動を繰り返させないようにできる、などとはとても信じられない。
振り返ってみても、経済危機が起きる前に規制強化を行なっていたら今のような状況にはならなかったとはとても言えない。 政府による規制・統制はするべきでないのだ。

銀行が救済を望み、その条件が銀行の思う通りであったとしても、果たして政府による救済策が必要であったのかははっきりしない。 政府の救済がなくても貸付はなくならなかったし、ビジネスは続けられたはずだ。
二○○八年一○月、ミネアポリス連邦準備銀行に属する三人の経済学者が、政府による金融機関の救済は間違っているという、政府にとっては驚くべき主張を四点にまとめて発表した。 第一に、アメリカ国内の貸付額が急減しているという話は事実ではない、ということだ。
ウォール街の金融機関は政府からは借りられているが、その他の方法での資金の借り入れには苦労している。 しかし、金融機関以外の多くの企業は資金をちゃんと借り入れているのだ。
ニ○○八年一○月八日付の調査データは、企業と個人に対する貸付額が減少していないことを示している。 第二に、銀行間貸し付けは行なわれていないと言われていたが、データは、実際にはそれが「健全に」行なわれていることを示している。
第三に、金融機関以外の企業は、短期借入(コマーシャル・ペーパーと呼ばれる)を行なう能力を保持しているということだ。 経済危機発生後、金融機関発行のコマーシャルペーパーは減少したが、金融機関以外の企業が発行したコマーシャルペーパーは減少していない。
金融機関発行のコマーシャルペーパーの金利は上昇しているが、それ以外の企業発行のものの金利はそうでもない。 また、金融機関発行のコマーシャルペーパーの金利も、ニ○○六年からニ○○七年半ばの頃に比べ、だいぶ低くなった。
第四に、銀行が貸出を渋るようになったが、資金を借りたい健全経営の企業にはそこまで影響はなかった。 企業は銀行以外から必要な資金の八○%を調達していた。
金融コンサルタント会社のセレント社は、二○○八年一二月に、ミネアポリス連邦準備銀行の調査を裏付けるレポートを発表した。 連邦準備銀行のデータを使いながら、レポートは、伝えられている「信用収縮(貸し渋り)は誇張された」ものだと結論付けた。

経済危機発生後も、個人貸出から銀行間貸出までを含む貸出額の総額は巨額なものだった。 レポートは、アメリカ政府が、いくつかの大企業(商業銀行、投資銀行、自動車会社)の苦境を誤って一般化し、貸出の減少が経済に悪影響を与えているとする誤った結論付けを行なったと指摘している。
レポートの一部を引用する。 「B連邦準備制度理事会議長とP財務長官の発言内容の多くが支持されなかった。
私たちの用いたデータは彼らが率いる機関が発表したものであるのにもかかわらず、データとは矛盾していた。 これは全く驚くべきところが、アメリカ議会、プッシュ政権、そしてメディアは、セレント社のレポートが基にしているデータを無視した。
そしてメディアは連日、政府による大規模な救済策を過熱気味に報道していた。 救済策以外の方策を考える時間も、発生したことの重要な情報を集める時間すら持たれなかった。
政治家(議員)たちは冷静に対処することさえ許されなかった。 彼らは何かしら行動しなければならなかった。
こうしたことは前にも聞いたことがある。 そう、政府が無責任に何かをやろうとするときはいつも、政府は「時間がない。
何かやらないと……」と国民に言うのだ。 国民世論のプレッシャーに押され、議会は政府による救済策を審議し始めた。
そして、上院は、全会一致で金融安定化法案を可決した。 悲劇的な統計データ、中傷、馬鹿げた経済理論を支持するメディアなど、様々な要因があった。

にもかかわらず、下院では金融安定化法案は否決され、世間を驚かせた。 その直後に、上院では法案が可決された。
それからの成り行きは予想されたものだった。 下院で救済法案が可決されないということで、株価は下落を続けた。
それで法案が下院に再提出され、再び可否を決することとなった。 今度は可決された。
二○○八年一○月二日、ブッシュ大統領は法案に署名し、金融安定化法は成立した。 同日、ダウ平均株価は一万四八二ドルで引けた。
その一週間後、終値は九○○○ドルを下回り、二○○八年末までその水準で推移した。 従って、政府による救済策があったから経済が回復したのだとは言えないのである。
金融安定化法の成立後、多くのアメリカ人が不信感を持つようになった。 彼らは、この法律がお金と資源を無限に食いつくすブラックホールのようになるのではないかと考えるようになった。
もちろん、救済法案が議会で可決されなかったら、株式市場の急落は、議会が法案を否決したせいにされていただろう。 市場経済が、あらかじめ答えの出ている議論に勝つには法案が否決されるしかなかった。

救済策の実施には時間がかかるが、どうせ実施されると分かっていた。 だからウォール街の金融機関は生気を取り戻した。
それはまるで、現在は原油高だが、将来確実に新しい大油田が見つかるということが分かり、やがて原油価格の引き下げが起こるようなものだった。 しかし、株式市場が盛り返すことはなかった。
株式が一時的に上がることは、「株価が下がり気味の弱気市場」では起こることだ。 同じことは大恐慌の初期段階で起き、株式市場が歴史的な高値を記録したこともある。
救済策が功を奏さないのは、政府当局が十分な資金を投入していないからだと非難する人々内容だ〕。 ブッシュ政権が、金融危機を大恐慌にまで発展させないようにするために「今すぐ必要だ」とした計画には、金融機関からの不良債権の買い取りも含まれていた。
しかし、その権限を与えられていた財務省は、不良債権の買い取り計画の延期を決めた。 最終的には、不良債権買い取り計画は実施されないことになった。
言い換えれば、私たちアメリカ国民は総額で八兆ドル(約八○○兆円)もの金を政府に託した。 そして、政府はその金を貸し出したり、与えたりした。
ところが政府は、自分たちのやるも既にいた。 しかし、そもそも七○○○億ドル規模の救済策では不十分なのだ。
それどころか、二○○八年の上半期に、連邦準備制度と財務省は、合計で八○○○億ドル規模の救済策を行なったにもかかわらず、何の効果もなかった。 救済策は、もともと経済回復にとっての有効な手段ではないのだ。

政府がやらねばならないこと、それは、アメリカ経済が、映画「パーニーズ/あぶない〃ウィークエンド」のとおりの状態になっていると認識することだ。

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